かつて一世を風靡した人気ロック歌手シャイアンは
訳あって音楽活動をやめ、今では隠遁生活を送っている そんな彼の元へある日、アメリカに住む父が危篤との連絡が届く シャイアンは30年間決別していた父の元へ向かう 『きっとここが帰る場所』 監督 パオロ・ソレンティーノ 音楽 デビッド・バーン、ウィル・オールダム 主演 ショーン・ペン 細かい出来事や映画の中でのちょっとした約束事なんかを ひとつずつ回収してくれる親切な映画が好みの私には ちょっと難しい映画でした この映画最大の謎は"トニーの不在" 映画の中ではその名前しか出て来ないトニー トニーは誰なのか どうして家を出て行ってしまったのか トニーとは何かを象徴する存在なのか お時間ある方はぜひ、謎解きに挑戦してみて下さい シャイアンは借りた車をちゃんと返したのだろうか、とか いちいち本筋とは関係のないところが気になってしまい、 映画の2時間が長く感じました もう少し鷹揚に映画の醸し出す色合いや温度を 楽しめる人向けの映画と言えそうです ただ期待していたデビッド・バーン監修の音楽はやっぱり良い 久しぶりにサントラが欲しい映画 テーマソングであり映画原題でもある Talking Headsの“This must be the place”を デビッド・バーン本人が本人役で歌うコンサートシーンだけでも観たかいがありました 映像の構図が良い意味で映画らしくなく、画面の色彩もポップで 洒落ていて"クリエイティブです!" というかんじなので 長い長いPVとして観ればお得かも ショーン・ペン演じるシャイアンの笑い方も良い味出してます シャイアンは旅を通して大人になり、帰る場所が見つかった デビッド・バーンにも帰る場所は見つかったのでしょうか 先日古本屋で古い雑誌を立ち読みしていたら、彼のインタビューが載っていた 他にジョニー・デップが彼女のケイト・モスについて 語っているインタビューが載っていたから1994〜1998年辺りの記事かな ということはデビッドはもうソロ活動している時か。 デビッド・バーンと言えばステージでの、 神経症的奇怪な動きが浮世離れしていて魅力的 ところがインタビューで今後の活動について聞かれた彼は、 これからはもっと自分に素直に正直に 自分らしくやっていきたい と答えていた 度肝を抜かれるとともに、不思議な気分になりました ああ、デビッド・バーンでも そんな常人が抱えるような悩みを抱えていたのか もっと自分らしく生きたいと思いながら サイコキラーを歌い、首を鶏のように動かしていたのだろうか でも、常人と超人のあわいを揺れ動くぎりぎりの精神が 詩の根源であり、独特の魅力でもあるのでしょう デビット・バーンにも、彼が歌うような 自分らしくいて、愛のある 帰る家が見つかっていますように
by 96770
| 2013-11-19 11:26
| シネマテーク
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