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こんな本を書けるようになりたい『モロッコ流謫』


『モロッコ流謫』 著/四方田犬彦


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いつもいつも、「もっと学びたい」と思っています。

なぜ学びたいのか。

それは、自分とこの世界との関わり方や、

それを通して世界を眺められるようになる何かを

学問の中で見つけたいからです。


面白い本を読んだとき

「わー面白かった!感動した!」

で終わってしまう今のままでは勿体無い。

もう一歩、疑問を持って分析出来るほど、

何かの分野に精通してみたい。

そこへ至ったときに何が見えるのか、それが楽しみです。



さて、『モロッコ流謫』は四方田さんのモロッコ紀行であり、

ポール・ボウルズを軸とした文学論でもある。



この本を読んで、小説で旅を紐解き、

旅することで小説や作家の理解を深める、

文学を通した世界との関わり方もあるのだと慧眼しました。


ボウルズの翻訳をしている四方田さんが

彼の人の住むモロッコはタンジェへ、

いくつかの質問を携えて向かいます。

彼の本を訳すにあたり、モロッコの街も見ておきたいと。



読書は、そのままでは受け身な体験ですが

筆者に質問できるということは、

対象についてもはや受け身ではなく、主体的に介入し

読書が自分の経験になっているということ。


本や映画をただ受けとり、感動するだけでなく

作者や監督に疑問を持って会いに行くような

主体的な読み方をしたい。


旅もそうです。

私の旅行はまだまだ、ただただ未知との出会いに驚き

新鮮さを楽しんで終わってしまいます。

でも、例えば料理をする人は食を通して

音楽をする人は楽器を演奏することを通して

スポーツでも、買い付けでも、はたまた営業の仕事でも

自分の眼を持っている人は、

もっと未知の世界に深く入って行くことができる。


そういう何かが欲しい。

今まで漠然としていましたが、

四方田犬彦さんの本を読みはじめて

自分のやっていきたいことの方向を掴めた気がします。



四方田さんの本は、衒学的にならずに

学問的な知識を教えてくれます。

難しそうなことを、一切の抵抗感無しに読ませてくれるから、

気づかぬうちに頭がよくなった気分にさせてくれるのも

好きなところです。


膨大な知識に読者を迷宮入りさせず、

一先ず最後まで読ませる筆力にも感服する。




世界との関わり方を見つけたくなる、

意識を高めてくれる非常に知的好奇心に溢れた一冊です
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# by 96770 | 2014-10-29 13:28 | 書店

『サイゴンから来た妻と娘』


ベトナム戦争中のサイゴンで特派員を務めた近藤さんが、

現地で出会った妻と娘とのサイゴンと東京での生活を綴る


『サイゴンから来た妻と娘』 著/近藤紘一


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四方田犬彦さんが著作のなかでオススメしていたので

手に取った一冊

面白いです


ベトナム人との倫理観の大きな違いに

ギョッ!とすることも多いのですが、

不思議と不愉快な気持ちにはなりません

近藤さんが物ごとをじっくり見てから

判断する方だからでしょう


とくに今読んでいる「いくらしたかね?」という章が面白い


ベトナム人はすぐに物の値段を聞く

初めはなんて国に来てしまったんだと思う筆者ですが、

「いくらしたかね?」と言う掛け合いから、

歴史を交えてベトナム人の生きる知恵、

そして価値観までを読み取って行くのです


自分の信じる価値観と違うことに対して近藤さんは

下品だなと嫌な顔をして判断を下し思考停止してしまうのではなく、

自国とベトナムとを歴史や地理的に比較分析して行きます



とても知的です




観察者として語るとき、

無意識のうちに自分を善人に見せようとしてしまうことがありますが、

筆者の文章には、そんな気が一切感じられない

明け透けな点も非常に好感が持てます




異文化に興味を持つ者として、

学ぶ点の多い一冊です
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# by 96770 | 2014-10-22 19:53 | 書店

『トークトゥーハー』


眠り続け目覚めることの無いバレリーナと女闘牛士に、

話しかけ、手を握る2人の男

優しさがすれ違う愛の物語


『トークトゥーハー』 監督/ペドロ・アルモドバル


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アルモドバル監督の映画は生々しい


リアリティや生々しさを描くために、

下劣になったり過度に汚さを演出する手を使う人は多いが、

アルモドバル監督の映画は

いつでも根底にそこはかとなく美しさと切なさが香っているところが好きです



誰も悪くないのに、

誰もが"物語のような"完璧な幸せを手に入れることはできない





本筋と関係ないけれど、主人公マルコの

旅行してはガイドブック書いてまた旅行して

っていう生活、理想
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# by 96770 | 2014-10-17 11:20 | シネマテーク

うーん…『365日のシンプルライフ』


たくさんの物に溢れた部屋で生活していた主人公兼監督のペトリ

自分の部屋に幸せがないことに気づいた彼は、

人生にとって大切なものを見つめ直すため

1年がかりのプロジェクトを思い立つ


①全ての持ち物を倉庫に預ける

②1日に1個づつ必要な物を取り出す

③1年間なにも買わない


監督の実体験をもとにしたストーリー


『365日のシンプルライフ』


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劇場を出て、一緒に観た先輩と

私「…面白くなかったですねえ」

先輩「うーん…分からんかったわあ」

私「主人公の顔かな?性格?主人公が全然魅力的じゃなかったよね」

先輩「あー!そうやわあ!」


主人公のトークや独白が全く面白くない

あんまり魅力を感じない人でした

なんとなーく暗い

企画が面白くとも、

挑戦する人が魅力的じゃないと面白くないということが勉強になりました



しかも、1年のプロジェクトを通して分かったことは、

「人生はモノで出来てるんじゃない!モノより大切なものがある!」

ということ



それ、こんなことしなくとも分かったんじゃない?





250日ぐらい過ぎると、これ以上モノを増やさなくとも

楽しく生活できるようになる

だけどなんだか虚しい


そうだ、僕には恋人がいない!


で、確か300日目ぐらいに彼女が出来る

すると一変

画面も表情も一気に明るくなる



なんだかなあ


失恋→自分にとって何が大切か知るために物を無くす

→大切なのは物じゃない!→彼女が出来る→ハッピーエンド


って…


1年がかりの大きなプロセスの割には

得られることが浅く、肩すかしな映画でした
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# by 96770 | 2014-10-11 20:49 | シネマテーク

ペネロペ・クルスかっこいいなあ!『ボルベール<帰郷>』


ライムンダ、パコ、パウラ

3人の家庭が崩壊したとき、

3年前に死んだライムンダの母親の幽霊が現れたと噂が流れ…


『ボルベール<帰郷>』 ペドロ・アルモドバル監督


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悲惨かと言われれば、なんとも悲惨な状況

それなにの、陰湿な湿り気が一切ない


『オールアバウトマイマザー』に引き続き

ペドロ・アルモドバル監督の描く女性は逞しく、美しい

今作もやはり男性が出て来ない!

スペイン女性は強く、生きていこうという気概がある

重い冷蔵庫だって女性だけで運んでしまいます

死体もみんなで始末する

かといって、馴れ合っている、というかんじではない

余計な詮索はしない、でも力は貸す



悩んだり、鬱屈したりすることに足を取られず、

辛いことや理不尽なことについて評価を下し自己憐憫に浸ることをしない



したたかで、かつ他者への共感を抱ける

女性の素晴らしさを感じる映画です



ペドロ・アルモドバル監督の映画は、

あらすじを読むと惹かれないけれど

見終わると、

起承転結ではなく、そこにある人生を描いていると感じるところに惹かれます
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# by 96770 | 2014-10-07 22:55 | シネマテーク