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『サブウェイ』は最後のセリフが良い!


タキシードに金髪頭のフレッド

どこか冷めた覇気のないカーチェイスから

地下鉄の奥底へ逃げ込む


盗まれた書類を追う美女

地下鉄の奥深くに住む個性豊かな面々


退廃的なネオンが光る地下鉄構内を舞台に

若さが疾走する愛すべきB級犯罪映画


『サブウェイ』 監督/リュック・ベッソン


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主役のフレッドを演じるクリストファー・ランバートの顔が良い

初めはなんて怖い顔なんだと、びっくりしたけど

味がある

ペラペラのイケメンより良いよね



ジャン・ユーグ・アングラートはザ・男前俳優なのだと

思っていましたが、ただの優男じゃない

ローラースケートで地下世界を滑走する神経の弱った青年役が様になっていた



大好きな『DIVA』でゴロディッシュ役だったリシャール・ボーランジェは

ここでも良い役をもらってる

“一匹狼だけど周りの状況を実は1番把握している謎の男”っていう役がぴったり



アクのある役者揃いで良かった

やっぱり出演するならフランス映画だなあ




ベッソン監督の若い感性が新鮮です


ブルジョワジーだったヘレナが

地下鉄の仲間たちと出会ったことで豹変するシーンが特に衝撃的

突然モヒカンヘアーにして悪態をつきだすという、ひねりのなさ



最後のコンサートの音楽が全くイケてなかったり、

それなのに絵に描いたようにノリノリの観客たちをアップで写すなど、

え?シャレ?それともリュック本気なの?

意表をつく展開

独特の間とムードがあります



コンサートの絶妙なダサさは

狙ってやってるんだろうか




でも、最後にフレッドがエレナに

「少しは好き?」と聞くシーンはかっこよすぎました

そこでその聞き方はズルい

惚れてまうやろー!

“少しは”って言わせるセンスの良さがニクい演出



そしてその次の一言が、

「後で電話する」

こんな状況でぜひ言っていみたい粋なセリフです

これは自分の人生を他人事のように面白がって生きられる人じゃないと言えない


この2つのセリフで完全にノックアウト

面白い映画観たなっていう余韻に浸れました



最後の2つのセリフのための100分です





『サブウェイ』は

リュック・ベッソンが27歳にして監督した彼の長編2作目


TAXiのイメージばっかりだったけど、

若い時はお洒落系だったんだなあ

なんだかみずみずしい
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by 96770 | 2014-07-20 00:11 | シネマテーク

ワールドカップを見た


いいもの見せてもらったなあ

この1ヶ月、とても楽しかった



サッカーが面白かったし

夜中の1時や5時に試合を見て、

睡眠のとれない生活も楽しかった



でも1番良かったのは

1試合1試合見るごとに悔しくなること



世界一を目指し死闘を繰り広げているプレイヤーの1人になって

世界の舞台に立ちたい





優勝した選手たちの嬉しそうな顔

目にも麗しいスーパープレイ

ぶつかり合い怒りを炸裂させ合う気迫のプレイ

勝負の世界で人生をかけている人たちの美しさ




一瞬のミスや気のゆるみが勝敗を決める

たった1度の接触が致命的な故障となり、舞台を去る

勝負の女神の無情さ

身体が資本である生き方の厳しさ

選手生命の短さ

激しい世界の中の儚さに胸打たれる



ワールドカップでサッカーを楽しんでいた全ての

プレイヤーになりたい

応援する側じゃなく、そっち側に立ちたい


自分の能力を1番に発揮出来る場所にたどり着いた人、

巡り会えた人たちが美しい

それが本当に羨ましいし、悔しい



平々凡々と生活していると

ついつい悔しさを忘れてしまう

何かを求める気持ちを焚き付けてくれる意味でも、

ワールドカップ良かった

いいもの見せてもらった




美しいのはもちろんスポーツ選手だけではない


歌うオーティス・レディング

ピアノを弾くグレン・グールド

にも同じ美しさを感じる



つまり、持てる才能と発揮する場所がピタリと会った時

人生は本当に綺麗だと思う



折角生きているのなら

ワールドカップの選手に、

オーティス・レディングに、

グレン・グールドになりたい

何者かになりたい




今読んでいる『遠い朝の本たち』の中で、

須賀敦子さんが引用しているサンテグジュペリの文章が

とても良いのでその箇所を書いておきます



「『建築成った伽藍内の堂守や貸椅子係の職に就こうと考えるような人間は、

すでにその瞬間から敗北者であると。

それに反して、何人であれ、

その胸中に建造すべき伽藍を抱いている者は、すでに勝利者なのである。

勝利は愛情の結実だ。……知能は愛情に奉仕する場合にだけ役立つのである』

(『闘う操縦士』 訳/堀口大学)

……自分がこうと思って歩きはじめた道が、

ふいに壁につきあたって先が見えなくなるたびに私はサンテグジュペリを思い出し、

これを羅針盤のようにして、自分がいま立っている地点を確かめた。」



そして、須賀敦子さんが若き日にフランスへ留学する直前に買った

『城砦』の中で下線を引いていたという一節


「きみは人生に意義をもとめているが、人生の意義とは自分自身になることだ」

(サンテグジュペリ)




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ドイツ、おめでとう!
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by 96770 | 2014-07-14 19:03 | 日記

W杯は阿刀田寛と読む


サッカーファンではないけれど、

ワールドカップファン!


いろんな国の人を見れるのが楽しい

ゴールを決めた選手が喜んでいる姿は、

どこの国の人でも清々しく気持ちがよい



日本選手はゴールを外すと悔しがるが、

海外の選手は怒る人が多い

国民性の違いが垣間みれ、興味深いです




自然、毎朝新聞のスポーツ欄に目が行くようになります

ほとんど読むことのなかったスポーツ欄

試合結果が分かれば良い

というぐらいにしか意識したことがありませんでした




ところが!

6月26日日経新聞朝刊

アルゼンチン対ナイジェリア戦の記事を読み

思わず笑みがこぼれました


テンポの良い文章

スポーツ記事っぽくない言葉回し

どことなく優しい語り口

新聞記事に感じる無機質なイメージを覆す、

行間から滲み出る人間味



こんな面白い記事を書くのは誰!?



そう、それが阿刀田寛さん

新聞記事の書き手の名前が気になったのは

これが初めてです


思わず古新聞を掘り返し、

阿刀田さんが書いているW杯の記事を

全て切り抜きました



新聞の文章なのに個性がある!



彼にかかると、

ボールはメッシに「君がゴールに入れて!」と語りかけるし、

イラン対ナイジェリア戦は"どことなくマッチョでアバウトな「男の世界」"

擬音語も「ドドドッ」「ぶんぶん」「バタバタ」「ドロン」と多彩

言葉遣いが愉快です



主観の入り交じった記事は、

ただの結果報告ではなく

人間が書いている手触りがあります

新聞記事は型が決まっていて堅い印象でしたが、

記者の工夫次第では、読み物としても楽しめる

賛否両論ありそうで、好きな文章です



2014年ワールドカップも残り約2週間

ピッチ上の男前探し以外に、

阿刀田寛さんの記事を追う

という楽しみができました
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by 96770 | 2014-07-01 00:59 | 日記