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2014年を本でふりかえり


さて、2014年はどんな本を読んだか?何冊読んだか?

59冊読んでいました。

こうして見てみると思ったより完読した本が少ない。

映画と違って本は、

何を読んだか書くのがちょっと恥ずかしい。

映画よりも本の方が

人間性が透けて見えるから。



しかし一言コメントを書いて置かないと忘れちゃいそうなので

2014年を本でも総振り返り




『旅行者の朝食』
米原万里


『ニューヨークおいしい物語』
高村麻里
イラストで綴るニューヨークの食べ物…だったかな?


『本業失格』
松浦弥太郎
弥太郎さんは昔のエッセイの方が好きだけど、これはちょっと若すぎた。


『ぼくを忘れたスパイ』
キース・トムスン


『伝統こそ新しい』
河田勝彦


『卵をめぐる祖父の戦争』
デイビット・ベニオフ


『まやかしの風景画』
ピーター・ワトスン
設定は面白いけど、話はイマイチ。ダビンチコード的なエンターテイメントを期待していたけれど、うーん。


『つむじ風食堂と僕』
吉田篤弘
すごく苦手なかんじ。


『夜のフロスト』
R・D・ウィングフィールド


『クリスマスのフロスト』
R・D・ウィングフィールド


『フロスト日和』
R・D・ウィングフィールド


『フロスト気質』
R・D・ウィングフィールド


『アルネ 別冊アルネ アルネのつくり方』
雑誌をつくりたい人は必見。形になるまでを詳しく書いてくれていて、そのまま参考になる。高橋さんがアルネをつくる前つくっていたスクラップの完成度が高く、スクラップの時点でほぼアルネのデザインができあがってる点に脱帽。


『不実な美女か貞淑な醜女か』
米原万里


『わが百味真髄』
檀一雄


『辞書になった男』
佐々木健一


『コルシア書店の仲間たち』
須賀敦子


『赤い草』
ボリス・ヴィアン


『聡明な女は料理がうまい』
桐島洋子


『渚と澪と舵』
桐島洋子


『醜い奴らは皆殺し』
ボリス・ヴィアン


『春になったら苺を摘みに』
梨木香歩


『トリエステの坂道』
須賀敦子


『就職しないで生きるには』
レイモンド・マンゴー


『ヴェネツィアの宿』
須賀敦子


『楽園のキャンヴァス』
原田マハ


『女たちよ!』
伊丹十三


『わたしの外国語学習法』
ロンブ・カトー


『若い読者のための世界史』
エルンスト・H・ゴンブリッジ


『そして誰もいなくなった』
アガサ・クリスティ
さすが、絶対におすすめできる名作ですね。ここからアガサ・クリスティにしばらくハマった。


『塩一トンの読書』
須賀敦子
須賀敦子さん、大好き。ただ、大体どの本も一貫した静謐なトーンで書かれているため、どの本がどの本だったかが区別できない。須賀さんの本は全ておすすめ。


『偶然の装丁家』
矢萩多聞
著者の来歴が面白くて手にとったけど、うーん。


『オリエント急行殺人事件』
アガサ・クリスティ
まだ映画観ていない人はぜひ、本から読むべし。


『牧師館の殺人』
アガサ・クリスティ
面白い。ミス・マープルの目のつけどころが知的。


『スタイルズ荘の怪事件』
アガサ・クリスティ
残念、あんまり思い出せず。


『海からの贈りもの』
アン・モロウ・リンドバーグ
自立した女性の走り。ウーマンリブっぽくて鼻につくところもあるけれど、大切なことが書かれていたと思う。年齢によって大きく感じ方が変わる本だと思うので、必再読。


『書くことについて』
スティーブン・キング


『遠い朝の本たち』
須賀敦子
須賀さんの本と記憶。いつも筆がさえている。


『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』
米原万里


『魔女の1ダース』
米原万里
万里さんの著書の中では、まあまあ。


『オリガ・モリソヴナの反語法』
米原万里
これはエッセイではなく、体験を基に歴史を纏ったフィクション。万里さんはエッセイが面白すぎるので、物語の文章にはちょっと息の詰まる部分もあったけれど、楽しませてくれる一冊には違いないです。いつもながら、参考文献の量に脱帽。


『アドルフに告ぐ』
手塚治虫


『魔法のことば』
星野道夫
アラスカに生きた写真家・星野道夫さんの講演やスピーチを書籍化。タイトルがちょっと気恥ずかしいけど、恥ずかしがらずにぜひ手に取って、まずは最初の講演を読んでください。若き人生迷い組の心を打つこと請け合い。
日本の冬にも耐えられない私でも、星野さんの言葉を聞くとアラスカに行きたくなってしまう。文章から、キンと冷えた大地に隠れた生命の温かさが伝わってきます。
池澤夏樹の解説が非常に巧い。


『他諺の空似』
米原万里
日本にいると、アメリカ寄りのニュースが多い。万里さんの本を読んで、如何に気づかぬうちにプロパガンダされてしまっているかに気づくことができる。特にこの本ではこてんぱんにアメリカが悪く書かれていて笑える。もちろん万里さんのアメリカ叩きを全て鵜呑みにしてしまっては元の木阿弥。全く違う視点の本を読むことでニュートラルな場所の位置を図りたい。


『旅の王様』
四方田犬彦


『ひと皿の記憶』
四方田犬彦


『<映画の見方>がわかる本 「2001年宇宙の旅」から「未知との遭遇」まで』
町山智裕


『モロッコ流謫』
四方田犬彦


『上京物語』
喜多川秦
自己啓発本、結構良いこと言ってくれます。


『サイゴンから来た妻と娘』
近藤紘一


『「七人の侍」と現代』
四方田犬彦
四方田さん、そんなに黒澤明監督のこと好きじゃないのかな?「黒澤監督は持ち上げられ過ぎてるから、ここでは冷静に見直したい」的なことを書いていたけれど、四方田さんの本は好きな物について気楽な文体で書いてある本の方が面白い。


『河童 他2編』
芥川龍之介
シニカルな短編。


『みえない未来相談室』
k.m.p.
『エジプトのききめ。』『ベトナムぐるぐる。』など、イラスト旅本を作っている二人組の人生話。旅行して、本を作るって理想的な生活。どうやって仕事を作り上げて来たか、参考になります。でも青山グレゴリーの方がパンチが効いてる。グ著『ブンブン堂のグレちゃん』も合わせてぜひ!最後に綴られている、働くことへの漠然とした疑問や中国に旅立つ話、ええ話。


『ピスタチオ』
梨木香歩
偶然に呼び寄せられて、アフリカに旅立つ主人公。アフリカで呪術医を巡るとか、魅力的なトピックスなのだけど、どうにも主人公の棚さんが苦手なタイプ過ぎて、最後までスッキリしなかった。棚さんの繊細さの押し売り感、友だちになりたくないタイプ。


『誕生日の子どもたち』
トルーマン・カポーティ


『あなたの人生の物語』
テッド・チャン
表題作しか読んでいないけれど、これだけでも一読の価値あり。言語と宇宙人に興味ある人は好きなはず。宇宙人と人間との認識様式の違いを理解させる著者の知識力と書き切る力に圧倒される。テッドさんかなり頭の良い人だわ。


『ティファニーで朝食を』
トルーマン・カポーティ
『誕生日の子どもたち』を読んで、"村上春樹"が翻訳するカポーティの大ファンになりました。村上さんが翻訳してくれて、本当によかった。今まで何回チャレンジしても読めなかったティファニーが、彼の翻訳本を手にして人生の10冊に入る本になりました。こんなに幸福な読書感は久しぶりです。


『夜の樹』
トルーマン・カポーティ
村上さんの翻訳と読み比べて、翻訳でこんなにも物語が、登場人物の顔が、部屋や町の風景が変わるとは、驚き。とにかくスックの顔はこんな顔じゃあない。言葉の選び方で全く異なるイメージが喚起される。


『叶えられた祈り』
トルーマン・カポーティ
カポーティ未完の遺作。これまたガラッと雰囲気が変わる。とくに面白い話ではないけれど、カポーティのことが知りたい!という読者の欲求には十分に応えてくれます。





こうして並べて見ると改めて、エッセイが好きみたい。

須賀敦子さん、米原万里さん、桐島洋子さん、四方田犬彦さんからは

人生の指針ともなる非常に大きな影響を受けました。

本の中で、「ああ、それがずっと言いたかったことなの」と感じる一節に

出会える瞬間は無上の喜びです。




しかし2015年は世界の名作文学をきちんと読んでおくことがテーマ。

まずは村上春樹さんに導かれてアメリカ文学を読んで行こう。



今年もたくさんの素晴らしい本との出会いがありますように...☆
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by 96770 | 2015-01-02 03:19 | 書店

村上春樹のスピーチ


にわか村上春樹ファンは、

インターネットで彼の情報を収集中



何年か前に話題になっていたエルサレム賞受賞のスピーチと

村上春樹エルサレム受賞スピーチ

これは知らなかった、カタルーニャ国際賞受賞のスピーチの

村上春樹カタルーニャ国際賞スピーチ全文

書き起こしを見つけました



村上さんはとても大切なメッセージを世界に発信していたんですね

カタルーニャ賞のスピーチは、

この間の選挙の前に読みたかった

投票に行かない友人知人たちに読んでもらいたかった



現在、日本で生きる上で心に留めて置かなくてはならないことが

書いてある



新聞で、原発再稼働賛成派の人が

「原発が無いと街の活気が無くなる」

「街の経済に為には絶対必要だ」

と言っているのを読む度に

本当にそうなのか?

どうして、原発無しイコール経済危機

という図式が当然とされているのか疑問に思っていました


そういう「便宜」が一般化されていく責任は自分たちにもある




カーッと熱くなった極端に走る政治的メッセージが溢れていますが、

そういうのはどうも肝心な部分が抜けている気がする



村上春樹の、冷静な知性

自分は関係ない、と思っている一般市民も

被害者であり、そして加害者でもあるという視点

今一度考え直すべき視点であると思います
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by 96770 | 2014-12-22 12:54 | 書店

カポーティのイノセントな記憶に触れる『誕生日の子どもたち』


今まで村上春樹さんのこと、

なんとなく鼻持ちならなくて


ベートーベンの交響曲は誰々の指揮でしか聞けない、とか

小説の登場人物たちに語らせるところ、


村上さん翻訳のグレートギャッツビーを読もうと思ったら

全く『春樹節』が強すぎて村上さんの小説になってしまっているところなど


反感を覚えていたのですが、

一冊の本を読んで全く評価を改めることになりました




『誕生日の子どもたち』 著/トルーマン・カポーティ 訳/村上春樹


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繊細で、でも決して繊細さの押しつけじゃなく

子どもの心情が言葉になって届く

スックや僕の顔、感謝祭の家の様子、台所の風景が

色鮮やかに目の前に現れる


とくに『感謝祭の客』と『クリスマスの思い出』は、


子どもの頃には持っていたけれど

大人になると構っていられなくなってしまうような

大切にしておきたい心の揺れ動きが

一番美しい形で結晶化している短編です



雰囲気の異なる『無頭の鷹』も構成が面白い

冒頭に説明を省いて現在を写してから、

過去に時間軸を戻して読者に状況を把握させていく手法は

映画を見ているようです



村上さんの筆の力、言葉の力にも感動しました

お家に他の方が訳した短編集もあったのですが、

数ページ読んで閉じました

美しいイメージが壊れてしまう


良い翻訳、良い言葉や文章には

手で触れているような温度や質感、

目で見ているような鮮やかさ、

1人友だちを亡くすような悲しさがあって

自分が経験したことのように記憶に残ります

翻訳でこんなに変わるものなんですね




『誕生日の子どもたち』

クリスマスにぜひ読んでもらいたい、素敵な一冊です

読んでよかった
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by 96770 | 2014-12-22 12:27 | 書店

こんな本を書けるようになりたい『モロッコ流謫』


『モロッコ流謫』 著/四方田犬彦


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いつもいつも、「もっと学びたい」と思っています。

なぜ学びたいのか。

それは、自分とこの世界との関わり方や、

それを通して世界を眺められるようになる何かを

学問の中で見つけたいからです。


面白い本を読んだとき

「わー面白かった!感動した!」

で終わってしまう今のままでは勿体無い。

もう一歩、疑問を持って分析出来るほど、

何かの分野に精通してみたい。

そこへ至ったときに何が見えるのか、それが楽しみです。



さて、『モロッコ流謫』は四方田さんのモロッコ紀行であり、

ポール・ボウルズを軸とした文学論でもある。



この本を読んで、小説で旅を紐解き、

旅することで小説や作家の理解を深める、

文学を通した世界との関わり方もあるのだと慧眼しました。


ボウルズの翻訳をしている四方田さんが

彼の人の住むモロッコはタンジェへ、

いくつかの質問を携えて向かいます。

彼の本を訳すにあたり、モロッコの街も見ておきたいと。



読書は、そのままでは受け身な体験ですが

筆者に質問できるということは、

対象についてもはや受け身ではなく、主体的に介入し

読書が自分の経験になっているということ。


本や映画をただ受けとり、感動するだけでなく

作者や監督に疑問を持って会いに行くような

主体的な読み方をしたい。


旅もそうです。

私の旅行はまだまだ、ただただ未知との出会いに驚き

新鮮さを楽しんで終わってしまいます。

でも、例えば料理をする人は食を通して

音楽をする人は楽器を演奏することを通して

スポーツでも、買い付けでも、はたまた営業の仕事でも

自分の眼を持っている人は、

もっと未知の世界に深く入って行くことができる。


そういう何かが欲しい。

今まで漠然としていましたが、

四方田犬彦さんの本を読みはじめて

自分のやっていきたいことの方向を掴めた気がします。



四方田さんの本は、衒学的にならずに

学問的な知識を教えてくれます。

難しそうなことを、一切の抵抗感無しに読ませてくれるから、

気づかぬうちに頭がよくなった気分にさせてくれるのも

好きなところです。


膨大な知識に読者を迷宮入りさせず、

一先ず最後まで読ませる筆力にも感服する。




世界との関わり方を見つけたくなる、

意識を高めてくれる非常に知的好奇心に溢れた一冊です
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by 96770 | 2014-10-29 13:28 | 書店

『サイゴンから来た妻と娘』


ベトナム戦争中のサイゴンで特派員を務めた近藤さんが、

現地で出会った妻と娘とのサイゴンと東京での生活を綴る


『サイゴンから来た妻と娘』 著/近藤紘一


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四方田犬彦さんが著作のなかでオススメしていたので

手に取った一冊

面白いです


ベトナム人との倫理観の大きな違いに

ギョッ!とすることも多いのですが、

不思議と不愉快な気持ちにはなりません

近藤さんが物ごとをじっくり見てから

判断する方だからでしょう


とくに今読んでいる「いくらしたかね?」という章が面白い


ベトナム人はすぐに物の値段を聞く

初めはなんて国に来てしまったんだと思う筆者ですが、

「いくらしたかね?」と言う掛け合いから、

歴史を交えてベトナム人の生きる知恵、

そして価値観までを読み取って行くのです


自分の信じる価値観と違うことに対して近藤さんは

下品だなと嫌な顔をして判断を下し思考停止してしまうのではなく、

自国とベトナムとを歴史や地理的に比較分析して行きます



とても知的です




観察者として語るとき、

無意識のうちに自分を善人に見せようとしてしまうことがありますが、

筆者の文章には、そんな気が一切感じられない

明け透けな点も非常に好感が持てます




異文化に興味を持つ者として、

学ぶ点の多い一冊です
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by 96770 | 2014-10-22 19:53 | 書店

本屋さんで平積みに!


ご近所の美味しいパン屋さんが本を出している!!

『ベッカライ・ビオブロートのパン』 著/松崎 太


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パン屋さんは入り口の香りで判断して間違い無いと思います

美味しい食パンは耳こそ美味しいと知ったのは、ここで。

バターの塊とマーマレード、濃いミルクティーが合う

ヌスシュネッケンはベタベタしてるのを選んでもらいましょう

クルミとレーズンのパンは薄くスライスしてカマンベールチーズと食べたい

シュトーレンこそクリスマスの喜び



9月1日出版のようだから、まだ刷りたてほやほやかな

知っている人が活躍していると嬉しい

読んでみよーっと
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by 96770 | 2014-09-03 23:58 | 書店

アドルフと考える『アドルフに告ぐ』


アドルフと呼ばれた3人の男たちの物語

『アドルフに告ぐ』 著/手塚治虫


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読む時間以上に、

読み終えてから考える時間の方が長かった



最近ニュースを見ていると不安になる

ガザ、ウクライナ、集団的自衛権の行使…



終戦の日、テレビ番組でひめゆり学徒だった女性が言っていました

普通一人の人が死んでも恐ろしいのに、

戦争では目の前でどんどん人が死んでいくのに怖くなくなってしまう

戦争は人間を人間でなくしてしまうのです



一体何が正義なのか。

本当に平和のためには武器が必要なのか。

『アドルフに告ぐ』は、

各々が正義を振りかざす前に

読んでおいた方が良いマンガです





「表現」することの意義についても考えるきっかけとなりました


例えば、戦争に反対というテーマ

今までも、そしてこれからも多くの人が表現していくテーマでしょう

たとえ他の人や歴史の偉人たちが掲げたテーマであっても、

それぞれの人が自分の方法を持って表現していくことが大切と感じました



自分の持っているテーマを自分の方法で表現すること

それぞれの人が表現すること

同じテーマでも、いつ、どんな時代に、どこで、どのように伝えるかによって

届く相手が変わる


1度では届かないかもしれないが、

繰り返し触れることで自分の中に、いろいろな人の想いが積み重なっていく


その輪が広がっていくと、世の中の風潮が変わっていく




米原万里さんの著書『魔女の1ダース』の一節を引用します

「観念操作によって心の中に形成されうる強固な障壁を克服する手段はないものだろうか。

あって欲しい。

どんな遠い異国の人々でも、物理的には近くにいるのに得体の知れない他人でも、

身近でかけがえのない人々にしてくれる魔法のような装置がないものか。

優れた小説や芝居や漫画や映画やテレビ番組には、

時々そんな不思議な力が秘められている気がする。」


『アドルフに告ぐ』にはそんな力が秘められていました




できれば良き方向へ世の中の風潮が変わっていってほしい

でも、この"良い"っていうのがクセモノで、

万人にとって正しいことなんてないみたい


前は、悪意が無くなれば…と思っていましたが、

悪意は誰にでもあって自然なものなのかもしれない

個人の中の悪意とどう共存していくか

悪意を抱えつつも、行き過ぎることのない想像力を持つにはどうすればよいのか

考えていたい
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by 96770 | 2014-08-21 13:19 | 書店

『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』



1960年〜64年をプラハのソビエト学校で過ごした米原万里

帰国後30年を経て、激動の東欧で音信が途絶えた3人の旧友の消息を辿る


『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』著:米原万里


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面白かった。号泣。



やはり万里さんは一級のストーリーテラーだわ、本当に。



個人史の中に世界史が織り込まれているのも、

知的好奇心をくすぐられる


日本のニュースでは中・東欧のことってほとんど触れないし、

学校の授業でも社会主義についてほとんど学んで来なかった


自分の無知さに驚きます

東欧や旧ソ連について、

何も知らないことにすら気付いていなかったです





社会主義の矛盾を見つめる子どもの目、

誰がつくっているのか分からない歴史の大きな渦に

否応無く巻き込まれて行く、慎ましく心優しき市井の人々



歴史に名を残す人々ではない、

しかし、万里さんの目を通して綴られる人々の生き方が鮮やかで

人生というものに惹き付けられる3編でした
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by 96770 | 2014-08-13 23:11 | 書店

『書くことについて』スティーブン・キング


スティーブン・キングが語る

自身の半生と書くこと、そして生きること


『書くことについて』 著スティーブン・キング


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スティーブン・キングはすごい



とても正直で、自分のやっていることをよく理解している


"正直に書くこと"の重要性を繰り返し主張し、

そして本人も自分の仕事、書くこと、について

正直に書いている


自分の語ることを自ら実践することの難しさを考えると、

それだけ知的で正直な人物であることがよくわかります



こねくり回した表現で飾り立てて煙に巻く技は一度も使わない


具体的に、例をあげつつ

的確な比喩で綴る


創作活動をしている人で、

自分の活動について

見栄をはったり崇高ぶったりせずに、詳細に語れる人って

案外少ないもの


ついつい神秘的な香りをつけたくなる気持ちはよく理解できるが、

スティーブンは決してそういう安っぽい手段を取らない



知的な人だわ



自分の言いたいことをきちんと理解している

そこが彼の知性



自分の満足のためだけに書いたような文章がなく、

徹底的に読み手の側に立っているところには、

人間性の良さも感じます




本が好きなので、物語の生まれる過程や

作家の人生、書くこと、という題材は堪らない


それだけでなく、

サービス精神たっぷりの軽妙な語り口でも楽しませてくれる



クリエイティブぶったりしない、本当に知的でセンスの良い人です


非常にオススメの一冊
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by 96770 | 2014-08-05 17:20 | 書店

こんな人が好き!『女たちよ!』


「日常の振る舞いにこそ、その人となりは現れる。」

スパゲッティの正しい調理法から

セーターの着こなし方まで指南する

独断と偏見に満ちた粋なエッセイ


『女たちよ!』 著/伊丹十三


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なんてカッコいい!


本場イタリアのスタゲッティのゆで方を書き記し、

洋食屋のスパゲッティに苦言を呈し

「これをあなたはスパゲッティと呼ぶ勇気があるのか。

ある、というなら私はもうあなたとは口をききたくない。」

と。


この一文でノックアウト

かっこよ過ぎる!



日常生活で、1つや2つは

センスの悪さに驚くことがあっても、

一冊本が書けるほど、注意深く意識を持って生きていない


ちょっとした(と普通は思ってしまい見逃す)立ち振る舞いに現れる

趣味の悪さや人々の怠慢に対し、こんなにも敏感だと

生きにくかったんじゃないかな

でもそれこそがダンディー




かじっただけでは真似出来ない

美意識に溢れた一冊

全日本男児必読書
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by 96770 | 2014-06-23 19:30 | 書店