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カテゴリ:シネマテーク( 175 )

2014年を映画でふりかえり!


あけましておめでとうございます。

さて、2014年に観た映画は73本でした。

振り返ってみると、感想を書けなかった映画がたくさん。

折角だから一言コメントを書いておきたかったなあ。

ということで、2014年を映画で総まとめ!




『人生はビギナーズ』
監督マイク・ミルズ

『雨に唄えば』
監督ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン

『キッチンストーリー』
監督ベント・ハーメル
おじさんの交流の話。DVD裏面のストーリーは面白いけど、観ると「うーん」。

『ロストチルドレン』
監督ジャン・ピエール・ジュネ、マルク・キャロ
毒々しくって綺麗な物語。


『クリクリのいた夏』
監督ジャン・ベッケル

『ボーイミーツガール』
監督レオス・カラックス

『ミッションインポッシブルⅣ ゴーストプロトコル』
監督ブラッド・バード

『ミッションインポッシブルⅡ』
監督ジョン・ウー
小学生の時から何度観たことか。秘密組織に憧れる心は永遠。

『愛と哀しみのボレロ』
監督クロード・ルルーシュ

『チャオパンタン』
監督クロード・ベリ

『つめたく冷えた月』
監督パトリック・ブシテー
うーん。

『アーティスト』
監督ミシェル・アザナヴィシウス

『LIFE!』
監督ベン・スティラー

『オーギュスタン恋々風塵』
監督アンヌ・フォンテーヌ

『パリ20区、僕たちのクラス』
監督ローラン・カンテ

『あるいは裏切りという名の犬』
監督オリヴィエ・マルシャル

『キリマンジャロの雪』
監督ロベール・ゲディギャン

『屋根裏のマリアたち』
監督フィリップ・ル・ゲイ
フランスのこういう屋根裏部屋に住みたい!
ただ、イキイキしたマリアたちにジャン・ルイさんが惹かれていくのはもっともだけど、一体どうしてマリアがジャン・ルイに惹かれるのか、さっぱり。ちょっと後口が悪い。

『メルシィ!人生』
監督フランシス・ヴェベール
何度観ても笑えて、それでいて含蓄豊かな名作!

『グランドブタペストホテル』
監督ウェス・アンダーソン
いつかウェスの映画に出演してみたい。コミカルな動き、音楽、衣裳、空間、色、作り込まれた世界が素敵な夢をみせてくれる。

『サブウェイ』
監督リュック・ベッソン

『ANNA』
監督ピエール・コラルニック
セルジュ・ゲンズブールって男前じゃあないのになんだかカッコいいってことが初めて分かりました。が、物語について行けず置いてきぼりになってしまう。

『パリのランデヴー』
監督エリック・ロメール

『モーターサイクルダイアリーズ』
監督ウォルター・サレス

『ミザリー』
監督ロブ・ライナー

『レナードの朝』
監督ベニー・マーシャル
ロビン・ウィリアムズ、追悼。一度は観ておくべき映画。時間を置いてもう一度観たい。

『ウォンテッド』
監督ティムール・ベクマンベトフ
アメリカンな倫理観に驚愕!

『グッドモーニングベトナム』
監督バリー・レビンソン
ロビン・ウィリアムズ、追悼。

『ハッピーフライト』
監督ブルーノ・バレット
グウィネス・パルトロウ可愛いなー!アップテンポで悪意のないハッピーな笑いに溢れてます。何も考えず力を抜いて前向きな映画が観たい時に最適!

『カポーティ』
監督ベネット・ミラー

『ロシアンドールズ』
監督セドリック・クラピッシュ
『スパニッシュアパートメント』の続編。今年完結編が上映されるにあたり、再見。つまらなかった記憶があったのですが、意外に面白いじゃない!

『ムーンライズキングダム』
監督ウェス・アンダーソン
面白かった。バックグラウンドミュージックとして流しておきたい感じ。

『パリ・ルーブル美術館の秘密』
監督ニコラ・フィリベール
特に面白みのある映画ではない。

『緑の光線』
監督エリック・ロメール
主人公の女性デルフィーヌの情緒不安定さが笑える。フランス人のバカンスに賭ける熱い思いに感心。会話のシーンはどれも面白く、言葉での自己表現が豊で、でも全然話がかみ合ってなかったり、泣き出したり、ここでそんなこと言うか!って文化の違いや言葉の遣い方の違いがとっても興味深いです。

『オールアバウトマイマザー』
監督ペドロ・アルモドバル

『エヴァとステファンとすてきな家族』
監督ルーカス・ムーディソン
うーん。

『アンダーグラウンド』
監督エミール・クストリッツァ
この映画は本当に観て良かった。主演のミキ・マノイロヴィッチがかっこいい!ジプシー調のオープニングからエンディングまで、全編音楽が素晴らしい!旧ユーゴスラビアに興味を持つきっかけにも。

『フレンチコネクション』
監督ウィリアム・フリードキン
町山智浩さんの解説本と合わせて観ると、面白さ倍増。

『バッドエデュケーション』
監督ペドロ・アルモドバル
アルモドバル監督は中毒性アリ。監督の自伝的要素のある映画だとか。

『ボルベール』
監督ペドロ・アルモドバル

『365日のシンプルライフ』
監督ペトリ・ルーッカイネン

『スーパー8』
監督エミール・クストリッツァ
監督の所属するバンド、ノースモーキング・オーケストラのツアーを撮ったロードムービー。やっぱり音楽ができるって、いいな。ラストのセリフを聞くと、ちょっと長かったけど観て良かったなって気になります。バイオリンを弾きたくなる一本。

『トークトゥーハー』
監督ペドロ・アルモドバル

『アンソニーのハッピーモーテル』
監督ウェス・アンダーソン
いやー面白くなかったなあ!しかし、ウェス・アンダーソンもここから始まったのだと思うと、励まされます。

『シャンプー台の向こうに』
監督バディ・ブレスナック
一体どこがコメディなんでしょう。TSUTAYAの映画の分け方は間違っていると思うこと、しばしば。

『ライフイズミラクル』
監督エミール・クストリッツァ
長かった。

『神経衰弱ギリギリの女たち』
監督ペドロ・アルモドバル
神経衰弱→ボルベール→オールアバウトマイマザーの順番で観るのがおすすめ。女性のための三部作。

『フランシス・ハ』
監督ノア・バームバック

『ザ・ロイヤルテネンバウムズ』
監督ウェス・アンダーソン
ウェス監督の映画を観る度に、小さい頃の家庭環境に問題があったんじゃないかと思う。

『七人の侍』
監督黒澤明

『ライムライト』
監督チャールズ・チャップリン
人生の素晴らしさ、生きる喜びを、真っすぐなセリフで高らかに歌い上げてくれる、涙無しには観れない一本。でも、バレリーナの彼女よ、本当に好きなら、彼の面白くない姿だって丸ごと見る強さが欲しかったよ。

『羅生門』
監督黒澤明

『隠し砦の三悪人』
監督黒澤明

『サウンドオブノイズ』
監督オラ・シモンソン、ヨハネス・シェルネ・ニルソン
本編の基になった短編ムービーの方が面白かった。わざわざ長編にすることは無かった。

『天国と地獄』
監督黒澤明
まさに、天才。

『悪い奴ほどよく眠る』
監督黒澤明

『聖者たちの食卓』
監督フィリップ・ウィチュス、ヴァレリー・ベルト
インド・アムリトサルにあるシク教の黄金寺院<ハリマンディル・サーヒブ>では毎日10万食分の食事を無料で提供している。500年以上続くという無料食堂のキッチンを撮ったドキュメンタリー。ここでは、宗教も性別も人種も階級も職業も関係なく、誰もが食事を共にすることができる。
この寺院の存在を知れたことは非常良かった。でも映画にはナレーションや解説が一切なく、一体毎日大量のこの食材をどうやって誰が集めているのか、ここで働いている人たちはどうやって生活しているのか、そういう基本的な疑問には答えてくれないのが残念。

『用心棒』
監督黒澤明

『椿三十郎』
監督黒澤明

『お葬式』
監督伊丹十三
アボガドを食べるシーン、ミキサーと泡立てた生クリームが入ったボールを片手に抱え、ビスケットでクリームを掬って食べるシーン、やっぱり伊丹サンはお洒落だなあ!

『姿三四郎』
監督黒澤明
これは面白くなかった。三船敏郎がほしかったなあ。でも、志村喬が登場すると一気に画面が引き締まる。これが名優ということですね。

『酔いどれ天使』
監督黒澤明
これはなかなか良いですよ。志村喬のセリフ回しが良い!「それは奴隷根性だ!」って言えるのは素晴らしい。虐げられたがる女性に対する厳しい言葉が良い。ただ、誰にでもそんなに厳しいとヤクザの松永君は素直になれないよ。黒澤明の映画はいつもセリフがストレートで潔い。

『生きる』
監督黒澤明
冒頭のナレーション。小市民的公務員に対する辛辣さが清々しい。これは永遠の名作という肩書きがぴったり。ぜひ、観てほしい。12人の怒れる男的な会話で引き込む後半の展開、構成も非常に面白い。映画って、本当に良いものですねえ。

『野良犬』
監督黒澤明
三船敏郎演じる若い刑事がおっちょこちょい過ぎて、シリアスなのになかなか笑える映画。

『どですかでん』
監督黒澤明
うーん。

『ブエノスアイレス恋愛事情』
監督グスタボ・多レット
ブエノスアイレスを舞台に、建築と音楽に凝った巧いお洒落映画!Daniel Johnstonの"True Love Will Find You In The End"とMarvin Gaye &Tammi Terrellの"Ain't no Mountain High Enough"が最高。オシャレで気持ち良い気分になれる、小さいけど悪く無い映画!

『わたしはロランス』
監督グザヴィエ・ドラン
翌日まで持ち越す強い余韻を残す力作。驚きの展開とか、センセーショナルなラブシーンで迫力を出すんじゃなくて、純粋に物語の力によって衝撃を受けました。鮮やかなのに温かさよりキンとひえた冷たさを感じる映像は、カラフルな金属という印象。音楽、衣裳、色、細部まで監督の趣味が行き届いている。グザヴィエ監督、一歳年上か。悔しい。けど生きてる同年代で張り合いのある人が見つかってよかった。もう一度観よう。

『真夜中のギタリスト』
監督オリバー・アーヴィング
いやー面白くなかったなあ!

『マーガレットと素敵な何か』
監督ヤン・サミュエル
主人公・マーガレットの感情の起伏が激しすぎて、全く物語について行けなかった。ストーリーの展開に整合性が無いような…。

『マンハッタン』
監督ウディ・アレン
ウディ・アレン監督の映画は本人の出てない作品の方が好きだとよく分かった。まあよく喋るわ。

『素晴らしき哉、人生!』
監督フランク・キャプラ
何度観ても号泣してしまう。素晴らしい、愛すべき、夢のような作品。

『マダム・イン・ニューヨーク』
監督ガウリ・シンデー
良い映画だったなあ。留学しよう、語学勉強しようとモチベーションが新たになりました。学ぶことって喜びだなあ!特に語学はコミュニケーションという形でどんどん成果が見えるし、人と交流出来るようになっていくっていうのが楽しい。学ぶことで自信を得た主人公がどんどんイキイキしていく姿が綺麗でした。何かを自分から学んでいくことって、やっぱりいいね。
ところで、奥さんって大変だなあ。ファミリーはサポートし合って、応援し合うものなんだと反省する部分もあった。マダムの最後のスピーチ、もう一度しっかり聞きたい。
学ぶ意欲を高めてくれる映画です。ローラン素敵!

『サンシャイン 歌声が響く街』
監督デクスター・フレッチャー
うーん。ミュージカルって苦手かも。




いや〜良い映画をたくさん観れましたね。

素晴らしい監督との出会いもいっぱいあった。

ペドロ・アルモドバル監督と黒澤明監督は殿堂入りしました。



やっぱり、映画って本当に良いものですね。

2015年も素敵な映画をたくさん観れますように...☆
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by 96770 | 2015-01-01 22:31 | シネマテーク

『用心棒』


清兵衛一家と丑寅一家の抗争により、

荒廃とした宿場町へ、流れ者・三十郎がふらりとやってくる


『用心棒』 監督/黒澤明


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オープニングから音楽が良い!

お洒落だなあー!





洗い物したり、士気を高めて外出したいときに聞いています

クラシックでもないし、民謡でもないような

なんとも独特



四方田犬彦「『七人の侍』と現代」の中で、

黒澤明には、フェデリコ・フェリーニとニノ・ロータのような

あ・うんの呼吸で通じる音楽パートナーと終生出会うことが出来なかったと

書いてありましたが、そうかな?

どの作品も音楽が非常に印象的で唯一無二

低い太鼓の音が画面を引き締め、緊張感がある

今聞いても全く古くさくなく、

特に『用心棒』の音楽は音楽だけでも楽しめます




やっぱり三船敏郎はかっこいい

こういう人を「スター」と呼ぶんですね

存在感がある



三十郎以外はみんな抜け作なのに、

丑寅一家の三男・卯之助だけがかなりの切れ者だから

手に汗握ります




ラスト、「これで静かになるぜ」と言って去って行く三十郎

争いが無くなったのは嬉しいけれど、

町と一般人にダメージ与え過ぎたんじゃ?とちょっと心配


ウルトラマンみたいです
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by 96770 | 2014-11-13 14:13 | シネマテーク

『椿三十郎』と『ウォンテッド』の倫理観


次席家老の汚職を城代家老に摘発した九人の若侍たち

しかし全く相手にしてもらえない

そこで、大目付・菊井に相談するが実は菊井こそ黒幕

城代家老に濡れ衣を着せるため、菊井は城代家老宅を取り囲む


流れ者の剣豪・椿三十郎が九人の若侍に味方し、

何とか城代家老の奥方と娘を助け出すが、城代家老は連れ去られた後だった


さて、如何にして城代家老を見つけ出し、

菊井を成敗するか

三十郎が知恵をしぼり、剣を抜く!



『椿三十郎』 監督/黒澤明

※今回、日本語字幕付で鑑賞したのですが、

聞き取りにくいセリフや、耳慣れない言葉が多いのでオススメです


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これは面白い!

痛快アクションコメディ!

『用心棒』の大ヒットを受けて続編的作品として撮られた本作ですが、

『用心棒』より更に痛快さ、娯楽性がパワーアップ

続編は面白くない、という通説を覆す会心の作です



全く役に立たない九人の若侍や

捕虜として捕まっているのに全く危機感ない木村、

これまた全く危機感のない城代家老の奥さんと娘さんの会話が

随所に散りばめられ、いつになくひょうきんな作品

黒澤明監督の作品の魅力的な人物は、

戦って強い人や賢い人が多かったけれど、

『椿三十郎』では剣の強さではない、城代家老の飄々とした強さや

ちょっと抜けている奥さんの浮世離れした、それでいて賢いところが魅力的でした


文句無しにコメディとして楽しめる、オススメの一本!




ところで、これまた深いなあ、と関心したのは

悪を倒すヒーロー、椿三十郎を手放しで肯定しないところ

悪を倒すため、バッタバッタと人を切って行くのですが

それを肯定しない


こんな状況じゃあ人殺しも止む無し、と普通思うから

奥さんの「人を殺すのはよくないですよお〜」というセリフに

思わず笑ってしまうけど、

自分を助け出すために人を切った侍相手に「だめですねえ〜」と

言えるのは、実は凄いこと


椿が去った後、城代家老が語る想いが秀逸です

徹底して悪を倒す痛快さよりも、丸く納めるのもいいかもしれない

身をていして活躍した椿三十郎を賛美しないのがすごい




つい、アンジェリーナ・ジョリーの『ウォンテッド』を思い出しました


古代から続く秘密の暗殺者集団「フラタニティ」にスカウトされた、

平凡な男の人が暗殺者としてトレーニングされていく物語

(フラタニティは元々繊維業者の集団で…というのが

元々石工の集団だったフリーメイソンの設定とそっくりで、

予言する機織りが出て来たり、荒唐無稽で結構面白い映画です)


ここで、主人公が暗殺者として教育される倫理観が怖い


「1人殺して1000人助かるなら、殺すべし!迷うな!」


予言する機織り機の命令で暗殺対象が決定するので、

暗殺者には、対象がなぜ殺されるかは知らされません

で、主人公は初め「理由が分からないのに殺せない!」って

至極真っ当な反応を示すのですが、

だんだんと洗脳されて行き、立派な暗殺者に仕上がるのです


この、"敵"側の真理が一切排除され、

"まだ起きていない犯罪を未然に防ぐために"殺すことを

正当とする正義感や

人を殺すことに対する内省が一切ないところ

アメリカっぽくてなんとも恐ろしい映画だなあ、と思っていました




で、改めて、『椿三十郎』はすごい

魅力的な主人公を描きながら、それを否定する

悪い奴を殺すだけじゃあ平和にはならないってことを、

こんなにもカッコいい主人公にたくさん切らせておいて

語るところがすごい

頭の良い城代家老の"ツラがまずい"っていうのがすごい

顔がかっこよくて剣の腕が立って、しかも切れ者ってのが

ヒーローじゃあないんだよ

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by 96770 | 2014-11-13 13:31 | シネマテーク

世の中怖い『悪い奴ほどよく眠る』

社会の悪を痛烈に描いた傑作復讐劇


『悪い奴ほどよく眠る』 監督/黒澤明


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全く、すごい映画だねえ



目に見えている悪(復讐の対象:岩渕)だけでなく、

さらにその上に君臨する見えない巨大な悪(岩渕が電話で話す相手)、

そして悪に対し思考停止し、

盲目的に従っている小役人(特に和田さん、そして一般市民の象徴)まで、

3種の悪を描いている


卑近な悪から巨悪まで

虫の目になり鳥の目になり書かれた脚本がすごい


和田さんはまさにハンナ・アーレントの言う"凡庸な悪"を体現している


全く根は善良な人なのに、組織に組み込まれると

善良ゆえに追従してしまう怖さ



西の友人、板倉のセリフ

「あれは人間じゃないぜ!役人だ

官僚機構の鋳型にはめ込まれた特殊な生きもんだ!」

胸に響きます




そして悪を倒そうとする西さんに決定的なダメージを与えるのが、

根が善良な和田さんと佳子さん(岩渕の娘であり、西の妻)という皮肉

社会を変えようとする人の足を引っ張るのが、

良心的だけど現実の残忍さを直視出来ない飼いならされた優しい人々というところに

悪vs善で終わらない現実味がある


真っ当な良心は悪が支配する仕組みの中では無力

人間らしい情にほだされると負ける



「何もかも恐ろしく簡単で醜悪だ!」




でも、それだけだとあんまりにも世の中辛過ぎる
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by 96770 | 2014-11-10 13:34 | シネマテーク

『隠し砦の三悪人』


山名家との戦に破れた秋月家の侍大将と姫、秋月領地の百姓2人

御家再興のための金の延べ棒とともに

同盟国早川領への脱出をこころみる


『隠し砦の三悪人』 監督/黒澤明


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お金にがめつくならないように、気をつけよう


百姓2人、良い奴になるのかなー?っていう期待を

ことごとく裏切っていくのが凄い


なんだか憎めないけれど、ずーっと意地汚い


今どきの映画でこんなに期待を裏切りつづけるのってないんじゃないかな

脚本家、忍耐力あるなー!

普通なら改心させて、姫助けたりする見せ場を作って

華を持たせて大団円、みたいな盛り上げ方をしたくなるけれど

そういう安易さがない!



それから、やっぱり人間はおどおどしてはいけないねえ

今週、何作か黒澤監督の映画を観ているのですが、

女性がすぐ泣く

しかし『隠し砦』のお姫様はどんと構えていて好感が持てます

強気の態度で凛々しい女性でありたいですね
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by 96770 | 2014-11-09 21:49 | シネマテーク

人間の性『羅生門』

土砂降りの雨の中、羅生門の下

雨がやむのを待つ杣売りと旅法師が、

雨をしのぎにやって来た下人に

3日前の奇妙な事件について話し始める


『羅生門』 監督/黒澤明


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おもしろいねえ。なるほどなあ


人間はすぐに自分の利になるように嘘をついちゃうし、

自分の見たいものしか見れない


故意か自然か、ついつい都合の良いよう事実を歪曲させてしまう


そんな人間の性を、

コンパクトな物語をつかって鮮やかに見せてくれました



「12人の怒れる男」もそうですが、

シンプルな構成で「おおお!」と思わせてくれる映画が好きです

シンプルな分、監督の力量が問われる上、

巧いと深く明確に記憶に残る

『羅生門』も、何度も思い出しては、反芻する映画になりそうです






昨日は『ライムライト』も見ていたのですが、

母は若い頃に森茉莉が書いたチャップリンの悪口を読んだために、

以後どうしても彼のことを穿った目で見てしまうそうです


で、感受性が豊なときに何を読むかは

物の見方に非常に影響を与えるね、という話をしました




今、四方田さんの『見ることの塩』イスラエル編を読んでいます

イスラエルパレスチナの状況、

それぞれの民族の中でのさらに細分化された差別意識などを読んでいると

まったくどの立場から鑑みるかでものの見え方が全く違う



四方田さんの文章は、抑制して書いてくれているので読みやすい

でも、親パレスチナ派なのでもちろんパレスチナ人よりの本になる

自分の立場でものを書くことが、もっともなことなので

もちろんそれが悪いことではない


問題なのは今、私は四方田さんにゾッコンなので

ついつい彼の著作物を丸ごと受け入れてしまうこと


いいな!と思う人の本を読む時は気をつけないと


イスラエル擁護派やシオニズムの本も読んでみなければと思います



還って、森茉莉さんの本について

確かよしもとばななさんも大好きな作家として

尊敬の念を込めて、超一級の悪口を書ける人、と評していたと思う

しかし、まあまずはその人物を予備知識無しに知ってから聞きたい

先に悪口を聞いてしまうと、それが巧い分

頭に残ってしまってどうにも真っすぐに見れなくなってしまうんじゃないかな

悪口は老後の楽しみに取っておきたい





脱線しましたが、『羅生門』を見てもう一つ感じたこと

いつの時代も女の人は大変だな、と思いました


インドで、強姦された女性が「一族の恥」として家族に殺されたり、

モロッコで、レイプされた女性がレイプ犯と結婚するよう強制されて自殺したり、

『見ることの塩』に書いていた「イスラエルでの噂」曰く、

イスラエル軍がパレスチナ人の密告者を養成する場合、女性を輪姦する

アラブの強い貞操観念を逆手に取って、

家族に言わないかわりに密告するよう脅迫する

バレてしまっても女性は父や兄、村の人たちに殺されてしまう


そんな世界の話を聞いて、

なんて野蛮で無知な国々と感じていましたが

数十年か数百年前の日本も同じような価値観を持っていたんだと

思い知らされました



どこの国でも女の人は虐げられている

腕力で劣るから、そして忍耐強いからなのか

男性の方は疑問を抱かないのだろうか
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by 96770 | 2014-11-05 11:34 | シネマテーク

めちゃくちゃ面白いや!『七人の侍』

勢い、2日で2回観てしまいました

計7時間、全く飽きないねえ


昔の名作映画と言われると、

退屈で小難しい映画だったらどうしよう、と思っていましたが

本当に面白かった、観て良かった


これが天才か!




戦国時代、百姓たちは村を襲う野武士たちに苦しめられていた

ある日、麦の収穫が済む頃を見計らって村を襲おうと計画している野武士の

話を立ち聞いた村民たちは、村を守るため

百姓のために戦ってくれる侍を探しに、町へと向かう


『七人の侍』 監督/黒澤明


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息つく間もなく、207分間圧倒され続けた

これが1954年の映画

古くささや、ぎこちなさが微塵も無く

むしろ斬新


先の読めない展開、スピード感、迫力迫力迫力


「楽しませよう」という精神がいいですね



そして、こんなにもエンターテイメントとして

興奮させるのに、最後に虚しさを残す

ここが凄い


勧善懲悪や善悪を押し付ける物語ではないところに、

人間社会のリアルさがある



あらすじを辿ると、明解なストーリーなのに、

最後、「あーよかった!」と能天気な終わり方にさせない


最後の3分間に圧倒された


活劇なのに内省させる余白の残し方



今、退屈だなーって思っている人、観た方がいい

こんなに退屈な生活ができているのは

誰か志のある人がどこかで犠牲になってくれたからなのかも知れない

いつか血を流してくれた人がいるのかも知れない


争いは全て虚しい




2回観ると、1回目では聞き取れなかったセリフも

理解出来るようになったり

難しい百姓の言葉も分かるようになってより楽しめます


特に七人の侍たちの性格と顔の違いが

より明確に分かったので2回観てよかった

登場人物がそれぞれに魅力的なのが良いんでしょうね

本当に七人七様にカッコいい


1回目は三船敏郎の存在感に圧倒される

セリフの8割は奇声

ふとした時の顔の男前っぷり

粗野なのに真理をついている


でも2回観ると超人的日本男児の鑑・久蔵の

渋さにノックアウト

こりゃあ勝四郎くんじゃなくともクラッときちゃうよね


いや、でも自分がなるなら、先生こと勘兵衛さんだな

強く賢い人格者、弟子入りしたくなる


飄々とした平八さんも良い味がある

こういう人が仲間には必要


1回目は丸顔がかぶっていて七郎次と五郎兵衛を混同しがちだったけど、

2回目よく観てみると、五郎兵衛はなかなか人柄が良い

(丸くてつるっとしているのが七郎次、

丸くてヒゲが生えててよく笑うのが五郎兵衛)


しっかりそれぞれの性格の違いが描かれていて、

見せ場もある

画面の向こうへ老若男女問わず恋させる魅力に溢れています


あと、実は百姓も演技派

全く百姓という印象ばかりを残す


個人というよりは、総体として日本人を見たときに感じる

いやったらしさは、虐げられた百姓の根性だったんだなあ


長いものには巻かれ、いつでもヘイコラしてる

でも自分より弱い相手には集団で群がる下品さ

日本人の人口のほとんどがかつての百姓なのだから

日本人って百姓なんだなあ、と感じた

歴史が人間を作っていることを突きつけられて衝撃を受けました





やっぱり2回観て2回とも泣けるのは、

町へ出て侍を集める中でのワンシーン

「こいつらは侍に白飯食わすために、

自分たちはヒエしか食ってねえんだ!」


食べ物の話に一番痛切に感じ入りました






☆内田樹さんの『七人の侍の組織論』が非常に参考になります

内田さんの話はいつも明解なところが好き


『七人の侍』の組織論


勝四郎くん、重要なポジションだったのね
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by 96770 | 2014-11-04 00:45 | シネマテーク

もう一度観たい!『フランシス・ハ』


お気に入りの一本になりました!


『フランシス・ハ』


ニューヨークで親友ソフィーとルームシェアをし、

見習いダンサーをしている27才のフランシス


ところがある日、彼氏とも別れ、

ソフィーからも共同生活解消を切り出されてしまう


ダンサーとしても芽が出ないフランシス

未来を探してニューヨークを駆け抜ける


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面白かった!

女友だちとの微妙な距離やセリフ回し、

ATMでお金をおろそうと思ったら手数料3ドルでため息、

すごくリアルで、いつの間にか自然と物語に入り込んでしまいました



20代は必見!




観賞後、インターネットで映画の感想を見ていると

「イタい女の子が〜」「空気の読めない〜」

っていうコメント多数!

圧倒的にイタい・空気読めないという形容詞の下、

評価されているフランシス


あれ?フランシスってイタいんだ!空気読めてないんだ!

と、びっくりしたから

恐らく私も24才のイタい子

道理で他人事とは思えなかった訳



でも、自分のことは多数派に置いて、

大人になりきれていない人を「イタい人」の一言で

カテゴライズしてしまう短絡的な人にはなりたくないし、


フランシスの友人ソフィーのように、

自分は仕事を辞めて(夢を諦めて)結婚するけど

「あなたは変わらないでね、ずっとそのままでいてね」

って言っちゃう大人にもなりたくないな


ラスト、「甘い」「現実味にかけてる」って書いている人も

多かったのだけど、一体どんだけ厳しい社会に生活しているのか、

ちょっと心配になってしまう

「好きなことをやっていて、その近くに才能あった」

っていうのは悪くない



映画の感想って世相を反映していますね



フランシスが全然モテようとしていないところ、

ダンサーにしてはガタイの良過ぎるところ、

美人じゃないけどかわいげのあるところがとっても良かったです



彼女の素直で媚びてない部分が、映画を陰湿にせず

爽やかで楽しいお話でした



設定は「ゴーストワールド」にも似ているけれど、

ゴーストワールドの女の子達にはイマドキな陰険さがあって、

斜めに構えた映画

それはそれで楽しめるけれど、

「フランシス・ハ」のあっけらか〜んとした素直さの方が好感度が高い



人生楽しむなら、素直さが大切やねえ
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by 96770 | 2014-11-01 11:52 | シネマテーク

『トークトゥーハー』


眠り続け目覚めることの無いバレリーナと女闘牛士に、

話しかけ、手を握る2人の男

優しさがすれ違う愛の物語


『トークトゥーハー』 監督/ペドロ・アルモドバル


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アルモドバル監督の映画は生々しい


リアリティや生々しさを描くために、

下劣になったり過度に汚さを演出する手を使う人は多いが、

アルモドバル監督の映画は

いつでも根底にそこはかとなく美しさと切なさが香っているところが好きです



誰も悪くないのに、

誰もが"物語のような"完璧な幸せを手に入れることはできない





本筋と関係ないけれど、主人公マルコの

旅行してはガイドブック書いてまた旅行して

っていう生活、理想
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by 96770 | 2014-10-17 11:20 | シネマテーク

うーん…『365日のシンプルライフ』


たくさんの物に溢れた部屋で生活していた主人公兼監督のペトリ

自分の部屋に幸せがないことに気づいた彼は、

人生にとって大切なものを見つめ直すため

1年がかりのプロジェクトを思い立つ


①全ての持ち物を倉庫に預ける

②1日に1個づつ必要な物を取り出す

③1年間なにも買わない


監督の実体験をもとにしたストーリー


『365日のシンプルライフ』


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劇場を出て、一緒に観た先輩と

私「…面白くなかったですねえ」

先輩「うーん…分からんかったわあ」

私「主人公の顔かな?性格?主人公が全然魅力的じゃなかったよね」

先輩「あー!そうやわあ!」


主人公のトークや独白が全く面白くない

あんまり魅力を感じない人でした

なんとなーく暗い

企画が面白くとも、

挑戦する人が魅力的じゃないと面白くないということが勉強になりました



しかも、1年のプロジェクトを通して分かったことは、

「人生はモノで出来てるんじゃない!モノより大切なものがある!」

ということ



それ、こんなことしなくとも分かったんじゃない?





250日ぐらい過ぎると、これ以上モノを増やさなくとも

楽しく生活できるようになる

だけどなんだか虚しい


そうだ、僕には恋人がいない!


で、確か300日目ぐらいに彼女が出来る

すると一変

画面も表情も一気に明るくなる



なんだかなあ


失恋→自分にとって何が大切か知るために物を無くす

→大切なのは物じゃない!→彼女が出来る→ハッピーエンド


って…


1年がかりの大きなプロセスの割には

得られることが浅く、肩すかしな映画でした
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by 96770 | 2014-10-11 20:49 | シネマテーク