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マイ・ブルーベリー・ナイツ


大失恋して自暴自棄のエリザベス

そんな彼女を毎晩慰めてくれるのはカフェのオーナー、ジェレミーと

彼が焼くブルーベリーパイ

それでも失恋から立ち直れず、エリザベスは旅に出る

"通りの向こう側" へ渡るための300日の物語


『マイ・ブルーベリー・ナイツ』

監督 ウォン・カーウァイ



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まず、失恋してキーキーしているノラ・ジョーンズに、

ジュード・ロウが恋するのが不思議

閉店後にやってきて、飲んで食べて居座って、挙げ句に寝込むお客さんなんて

迷惑千万、願わくば早く帰ってくれ、と懇願せずにはいられないと思うけど、

毎晩ブルーベリーパイを用意して待っていてくれるのが

映画マジックだな、と思いました




メンフィスでアル中警察官アーニーと出会う話が長くて中だるみ

あのお話をもうちょっと短くして、もう一個だれかとの出会いを書いて欲しかった


でもさすらいのギャンブラーを演じるナタリー・ポートマンとのお話はなかなか良い

根拠も無しに根っから人間を信じやすい人と、まず疑ってかかる人

どちらが良いかではなく、ただその生き方の違いが鮮明に描かれていました



でも、『恋する惑星』や『天使の涙』のように

ただのワンシーン、たったひとつのセリフで、映画全体に恋に落ちるような

そんな衝撃はありませんでした

この監督独特の、そういう瞬間を味合わせてくれるところが大好きだったのでちょっと残念



舞台はアメリカだけど、ストーリー展開の手法も

映像の撮り方、色遣い、光、場面の切り替えに電車の走るシーンが使われるところも

全部『恋する惑星』や『天使の涙』と同じ

それなのに、観る側に全く違う印象を与えます



夜の街と緑の光は香港の蒸しかえる雑踏にこそ映えるし、

赤いランプの光はアジア人にこそ似合う色でした



ウォン・カーウァイ監督の美意識と手法がアメリカの街とはイマイチ合わず、

足をひっぱり合ってるかんじ

優れた書き手でも、どこでも素晴らしいものが創れる訳ではない

国や場所と、創作や美意識の相関性を見た気がしました
by 96770 | 2013-08-25 12:28 | シネマテーク
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