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大きな魚をつかまえよう リンチ流アート・ライフ∞瞑想レッスン


『大きな魚をつかまえよう リンチ流アート・ライフ∞瞑想レッスン』

著 デイヴィッド・リンチ

奇才、変態監督として名高いリンチさんが瞑想とアートについて語る一冊


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瞑想についての本としても、映画誕生の話としても楽しめる二度美味しい本




抽象的観念的事柄を言葉で言い尽くすのは難しい作業ですが、

さすが映画監督とあって、シンプルな表現で読み手に映像を浮かばせます

表現が巧い

瞑想状態のイメージが自然と映画のように視覚化される文章です




そして映画の捉え方が変わりました

「映画とは言語だ」

「物語を語るというのはそういうことだ。

 その映画を見るまでは味わったこともない、世界と体験を発明するんだ」


思わず なるほど! と手を打ちましたよ

今まで、よくわからない、なんだこれ?といった作風の映画に対して抱いていた距離感が

この本の言葉ですっと消えました

映画は新しい世界と体験を発明していたんだ

「映画の世界はひとつの創造物である」

この"創造物"という言葉が良い

創造主と世界、映画監督と映画



なんだかこれから映画を観る目まで変わりそう

簡単な言葉を並べて、新しいことをたくさん教えてくれる


P30 『解釈』の項はぜひご一読願いたいです





芸術作品が生まれて行く過程、

その始まりのアイデアを捕まえる瞬間

作品として出来上がる前の映画


こういう部分こそ大変興味深いのだけど、

熟達した人々には当たり前過ぎてあまり分かりよく書かれていない

その部分が情緒豊かに繰り返し書かれており、

さらに訳者さんが上手なのか優しく可愛い文章で、リンチさんに人間的魅力をかんじます





リンチさんの文章にはスピリチュアルな胡散臭さが少なくて好感が持てるので、

瞑想って興味あるけどちょっと怪しい、っていう人と

映画監督の頭の中を覗いてみたい方はぜひ!
by 96770 | 2013-05-10 01:18 | 書店
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