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ハーブ&ドロシー ふたりからの贈り物



前作『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』の続編

今回は現代アートコレクターのハーブ&ドロシー夫妻が、

全米50州、50の美術館に50個づつ作品を寄付するプロジェクトを追ったドキュメンタリーです


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ひとつのアートプロジェクトに関わる芸術家、コレクター、美術館スタッフ、美術館来場者ら

様々な視点からの芸術論が一緒くたになっていて興味深い




一番面白かったのは、ある芸術家の作品を巡る一連のシーン

切り取ったノートのページに絵の具でちょこっと薄いシミを描いているような絵

これを10枚ほど寄贈された美術館のスタッフが、並べ方に困って作者を美術館まで呼びました

作者曰く「これは全部でひとつの物語になっているんだ。シリーズになっている。

     ひとつづつ、規則をもって僅かに変化しているんだ。」

と言って向きを直したりする。そして

作者「ハーブとドロシーは展示の仕方についてなにか言ってなかったかい?」

スタッフ「"色彩が花咲く高さで"と言っていました」

なるほどと頷いて、この高さか?色彩が花咲くのはどこかな?ここだ!と言いながら

高さを決める作者。それを真剣に見守りメジャーで高さを測るスタッフたち



一方、無事に美術館に展示された同作品を鑑賞したお客さんの感想のひとつが、

「額に入れて、美術館に飾ったから、はい、これが傑作ですよ、なんて訳にはいかないぜ!」


この2つの視点の対比が面白かったです



それに合わせて印象深かったのが、

ある美術館で行なっているこどものための美術館ツアーのスタッフのおじさんの言葉

「この作品を観て、みんなは何をかんじるかな?アートは、数学と違って正解は1つじゃないんだ

 どう感じても間違いはないんだよ。全部正解なんだ。

 想像力を廻らせることで作者に近づけるんだよ」



芸術というのは面白いものだな、と思いました



下記サイトにて、2人が美術館に寄贈した作品を観ることができます

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なかなか面白い作品がたくさん

2人の選ぶ作品の多様性も見物です





最後に、橋や建物を包む作品で有名なクロード夫妻のクリストさんの一言


「論争になるのは好きじゃないけど、ありがたいね

 アートのたったひとつの役目は人々に考えるきっかけを与えることなんだ」






*どのセリフも私の印象で書いているので、一部字幕と違うかもしれません

 ぜひ本編を見てご確認ください
by 96770 | 2013-04-26 01:27 | シネマテーク
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