この景山民夫のエッセイ集は面白い 文章全体の肩の力が抜けた洒落具合と、彼の"普通"の生活の混沌無形四方八方具合の バランスが、粋 山賊に銃を突きつけられたり、ハメをはずしているのですが決して下品にならない 熱くなりすぎない文章が好き あくまで普通。それもわざと普通ぶっている訳ではないところにこの人の知性を感じます 景山民夫、桐島洋子、沢木耕太郎…一昔二昔前の紀行本の語り口や文章が好みに合います そこには文学がある 最近の旅エッセイはちょっと体温が高過ぎる 少し昔と今では旅に対する意気込みが違うようです 昔は気負っていない ところが今では 旅する=自由の象徴・個性的な生き方 のような、 旅に出ることに、大きな意味がありすぎる 一度仕事を辞めることのリスクが高くなってしまったからでしょうか。 それ故、本の中身が文学よりも 、HOW TO本・自己啓発本寄りになってしまう この本を読んで、文学的要素を持った紀行文、くずしても下品にならない文章の根幹には 確かな読書量があることに気がつきました 当然読んでおくべき文学を、もちろん当然読んでいるんですね 当たり前の知識が当たり前にある 確かな読書量に裏付けされた教養があるからこそ、過度に個性を演出することなしに 滲み出る魅力があるのではないでしょうか 教養というのはぼんやりしたものであるし、どうすれば得ることができるのか 難しいものですが、間違いなく読書は教養を得るひとつの手段であると思います そしてこの教養というものが、自分の足で歩き実地で見て聞いて食べる経験を さらに特別な経験にするのでしょう 私の好きな作家や芸術家には、読書家で放浪癖という共通点があるようです 読書と放浪には抗い難い魅力がある
by 96770
| 2013-04-15 00:14
| 書店
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